『グアムの朝刊』2025.5.2 GVB、来島者数は依然としてコロナ前の42.5%にとどまると発表、2026年の観光予算として3,090万ドルを要求。
2025年5月2日 The Pacific Daily News より抜粋、要約

観光客の到着数がパンデミック前の半分以下にとどまる中、グアム政府観光局(GVB)の理事会は今週、2026年の予算案を審議した。同局が求めている総予算は3,090万ドルで、その約半分にあたる1,540万ドルがマーケティングに充てられ、これは今年度より4%の増額となる。
観光地開発には790万ドルが計上されており、これには観光客の安全を守る職員やグアムをより魅力的な観光地とするためのプログラムが含まれる。さらに、750万ドルが事務管理費に充てられる予定。
理事たちは提案された予算を検討しながら、どのようにしてより多くの観光客を再び島に呼び戻すかについて話し合った。
3月時点で、会計年度の観光客到着数は2019年の42.5%にとどまっている。2019年は、COVID-19パンデミックによって世界的な旅行が停止し、グアムの観光産業が打撃を受ける前の基準年。暦年(1月からの累計)では、来島者数は43.7%となっている。
以下は、GVB(グアム政府観光局)の自社データに基づく、近年の会計年度ごとの予算承認額と到着者数。
2018年:予算2,383万5,000ドル、到着者数150万人
2019年:予算2,233万5,000ドル、到着者数160万人
2020年:予算2,249万ドル、到着者数757,385人
2021年:予算639万8,000ドル、到着者数61,607人
2022年:予算1,452万8,000ドル、到着者数216,915人
2023年:予算1,893万3,000ドル、到着者数602,594人
2024年:予算2,344万ドル、到着者数753,316人
2025年:予算2,897万ドル、到着者数76万2,949人〜100万8,000人(予測)
2026年:予算3,090万ドル(提案)
回復の遅れ
GVB(グアム政府観光局)が提案する2026年度のマーケティング予算の中で、最大の割合が割り当てられているのは、主要な観光客の送客国である韓国と日本。韓国には550万ドル、日本には450万ドルが計上されています。
グアムはこれまで日本人旅行者に人気の観光地だったが、日本からの旅行回復は遅れている。GVBによると、2019年には2,000万人の日本人が海外旅行に出かけたが、現在は約1,200万人にとどまっている。
日本の旅行会社であるJTBは、今年のゴールデンウィークの旅行者数が昨年と比べて7%減少すると予測。ゴールデンウィークは4月29日から5月6日にかけて、複数の祝日が集中する期間。GVBの関係者によれば、日本での旅行需要が低迷している背景には、物価の高騰、予算の制約、そして円安があるとしている。
理事たちは日本と韓国のデータを確認する中で、日本のケン・コーポレーションがグアム島内に6つのホテルを所有していることに言及。また、最近3つのゴルフコースが日本資本から韓国資本へと所有権が移ったことにも触れた。「スターツ・グアム」と「オンワード・マンギラオ」「オンワード・タロフォフォ」は、それぞれ「ファイネスト・グアム」「ソノ・フェリーチェ・マンギラオ」「ソノ・フェリーチェ・タロフォフォ」と名称が変更されている。
グアムへのフライト・座席数の減少
現在、東京・成田空港からグアムへの直行便は1日3便運航されているが、使用機材は大型機から小型機への変更により、1日あたりの座席数は766席から498席に減少している。また、グアムは他の日本の都市からのフライトおよび座席数も失っています。
GVB理事長のジョージ・チウ氏によると、日本からグアム行きのすべての便で全座席が満席になったとしても、年間到着者数は44万4,000人にとどまるとしている。この想定でも、日本からの到着数はコロナ前の60%にしか達しない。
「我々の主要2市場は依然として厳しい状況にあります」とチウ氏は語りました。「私たちは日本と韓国という最大の2市場に注力すべきです。両国ともコロナ前にはそれぞれ75万人の観光客が訪れていました。」と言う。
観光商品を磨き直す
グアム島の観光回復には明るい兆しもある。GVBによると、ココ・ウィークエンドは成功を収め、海外から400人のランナーがグアムを訪れた。
また、「グアム・ミクロネシア・アイランド・フェア」が6月7日と8日にイパオビーチのジョセフ・フローレス記念公園で開催される予定。このイベントでは、島々の習慣や伝統、料理などが紹介される。
GVBのジョアン・ブラウン局長は、タモンやハガニャといった中心地だけでなく、観光客全体の体験を視野に入れる必要があると述べた。彼女は、人気の観光スポットであるパゴ湾展望台の壁画についても言及、この場所は落書きによって景観が損なわれている。
「私たちは観光商品をもう少し丁寧に磨き上げる必要があります」とブラウン氏は述べ、グアムの観光客が暮らす国々では適切で迅速なメンテナンスが当たり前であることに触れ、「それなのに、彼らは自国より見劣りするものを見るためにお金を払ってここに来ているのです」とも語った。
新しいグアムの魅力の造成が急務
グアムの観光業の回復が進まない背景には物価高や為替などがあることは周知の事実ですが、現在の海外旅行客のニーズにグアムがあっていないことも要因にあると思います。増え続ける富裕層や準富裕層など金銭的に余裕のある層に選ばれる旅先になっていないことも観光業の苦境が続く原因なのではと思います。
安・近・短を売りに成長してきたグアムの半世紀に及ぶ歴史をそのまま継続していては、現在の海外旅行のマーケットには響かない、そんな気がします。新しいグアムへ、遅ればせながら転換していくことも考えてもいいのでは....。